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新藤悦子氏講演会報告

イスラム世界を物語る - 絵本・児童文学から見る暮らしと文化 -

 身近にイスラム文化を感じる機会が少ない日本人。過激派によるテロなどの報道が相次ぎ、あまり良いイメージがない昨今だからこそ、イスラム世界を少しでも身近に感じられる機会を作りたい。そんな思いから、今回の企画をいたしました。

 講演して下さった新藤悦子氏は、元々ノンフィクションライターとして活躍されていましたが、現在では絵本・児童文学の分野でたくさんの物語を発表されている作家さんです。イスラム文化の中でも特にトルコに造詣が深く、トルコ滞在記を中心に、スライドなども使ってお話いただきました。実は、イスラム社会では女性は男性には見せない姿がたくさんあり、これらのスライドは、新藤氏が女性だからこそ撮影できた貴重なもの。また、暮らしぶりについても、いままでほとんどの文献の執筆者は男性であっため、それらからは知り得なかった、生の暮らしぶりを聞くことができました。

 なぜ、新藤氏はイスラム世界を物語り続けるのか。イスラム教徒にとってお客様は神からの使い。予期せぬ時に来客があればあるほど大事なお客様と思われるそうで、新藤氏が訪れた時代にはまだ日本人は珍しく、多くのもてなしを受けたそうです。けれど、その人々のほとんどは、もう会うことができない。だからこそ、イスラム世界の魅力を物語ることで、恩返しならぬ、恩送りをしていきたい、そう結ばれましたのが印象的でした。

 なお、会場には社会人のほか、数は少ないものの、小学生、中学生、高校生、大学生のお客さまの姿もあり、鎌倉市外からも多くご参加いただきました。

(参加者27名 TOTOMOスタッフ8名)