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ヴィジョン策定は重点事業とはならず

本年328日に開催された図書館協議会の傍聴報告です。傍聴者は3名でした。

最初に図書館協議会の委員長と委員長職務代理の選任が行われ、委員長に鍛冶哲郎委員、委員長職務代理に梨本加菜委員が引き続き選ばれました。

次に、5件の報告事項の協議が行われました。議会報告では近代史資料室の活用や人員体制、マラケシュ条約の批准と障がい者サービス、地域館運営体制の変更の試行結果、サービス計画とヴィジョン策定などについて質問があったことが報告され、議員の図書館に関する関心の高さが感じられます。ただ、委員への配付資料には議員の質問しか記載されておらず、市側の答弁は口頭での報告となりましたが、これまで通り答弁も記載すべきと思います。委員からは近代史資料室への人員配置をもっと充実させるべきだ、図書館の障がい者サービスの現状はどうなっているのかなどの質問・意見が出ました。因みにマラケシュ条約とは障がい者が資料に触れやすくするよう著作権法の適用を制限する(つまり法の縛りを緩和する)というもので、日本でもこの4月に国会で承認されています。

新年度の休館日の予定では開館日・開館時間の試行として、中央図書館と腰越図書館で91日から11月末までの3か月間、祝日以外の月曜日をすべて休館にし、木・金曜以外は18時閉館、腰越図書館は930分の開館とすると報告されました。

3次子ども読書活動推進計画に寄せられたパブリックコメントが報告され、委員からは「子供は本来読書好き、苦手な子には読み聞かせが有効」「学校での読書は学びに重点を置いているような気がする、読書の楽しさを感じてもらうことが大切」「ビブリオバトルで他の本に興味を持つようにしたらいい」など多くの意見が出ました。

図書館のヴィジョン骨子案については「つながる、ひろがる、100年図書館」というフレーズのもとに、この3つのポイントそれぞれに箇条書きの説明文が並び、加えて中央図書館と地域図書館の役割について、市役所跡地への移転前と移転後、地域図書館については拠点校への複合化前と後に分けて書かれています。委員からは旧鎌倉地区は図書館サービスのブランクエリアが広い、地域館を置くべきという意見が出ました。

ヴィジョン策定に市民の意見を反映する場として開かれた利用者懇談会でもヴィジョン骨子案の説明はありましたが、議論にはならず、講師の公共図書館サービスとは何かというレクチャーを聞いたうえで参加者が3つのテーブルに分かれどんな図書館が欲しいと思うか意見を出しあうという形で進められました。この懇談会に参加した委員からは若い人や子どもがいるお母さんなどの参加はなかった、もっと多様な市民の声を聞くべきだという意見がでました。私も参加して同様な感想を持ちましたし、議論を深めるためにはワークショップ形式に限界があると感じました。

以上、5件の報告事項が了承され、最後に、図書館の重点事業の審議がなされました。新年度の重点事業にヴィジョン策定があげられておらず、委員から何故なのかという質問があり、図書館側からは第1項目の第3次サービス計画の策定に含まれると回答されました。しかしその項目の説明文にはヴィジョンについて一言も触れていません。どういう図書館を鎌倉市の図書館は目指しているのかイメージできるもの(ヴィジョン)を確立し、それを具体化するのがサービス計画ではないでしょうか。ヴィジョンの扱いがごく形式的なものにとどまっているように見えて残念です。