· 

20 周年記念事業「映画と本と図書館とin 鎌倉」を終えて

 11 月20~25 日、6日間にわたった映画上映会「映画と本と図書館とin 鎌倉」が無事終了しました。当会20 周年記念の事業企画でしたが、思いがけず「鎌倉市川喜多映画記念館」(以後川喜

多記念館と省略します)とのご縁に恵まれ、当初の予想よりもはるかに充実した取り組みを実現

することができました。

 上映作品は、検討の結果、当会が希望していた「疎開した40 万冊の図書」と「ウォーナーの謎

のリスト」に、川喜多記念館が長年上映を望んでいらした「奇跡の人」を入れた3本に決まりま

した。1日2作品を組み合わせて6日間上映し、初日を除く午後の上映後にはトークイベントを

開催しました。

 前号でも速報しましたが、トークイベントの講師として、鎌倉市中央図書館司書の中田孝信氏、

鎌倉同人会理事の内海恒雄氏、日本基督教団鎌倉教会牧師の森研四郎氏、鎌倉市深沢図書館司書

の只腰あずみ氏にいらして頂き、貴重なお話を伺いました。この場を借りて深くお礼申し上げま

す。トークを通して、来場者には映画会のテーマである「未来に残したい鎌倉の文化、繋げたい

人と人」をさらに深めて頂けたのではないでしょうか。

 また、一回のみではありましたが今回バリアフリー上映が実現できたことは何より嬉しいこと

でした。川喜多記念館の見識ある日頃の活動があればこそ叶った企画でした。当日は、視覚障が

い者の皆さんとともに音声ガイド用のFM ラジオのイヤホンを耳に、「聴く」映画の醍醐味を存分

に体験できました。中央図書館障がい者サービス担当の司書さんの参加もあり心強く思います。

 また、期間内、川喜多記念館情報資料室の一角が当会の展示スペースとなり、街と連携する鎌

倉の図書館の様子や当会の20 年の歩みをご紹介することができました。

 いうまでもなく、図書館は生涯にわたる市民の学びをサポートしてくれる知の拠点の一つです。

そこには、先人から受け継いだ知的・文化的財産である文書・資料・書籍などが利用しやすいか

たちで整えられています。これを活用してみずからの学びと成長を図り、さらに豊かなものにし

て未来に引き継いでいくことは、今を生きるすべての人の責任ではないか?映画から発せられる

そんな投げかけを、多くの皆さまと共有できればと考えての本企画でした。

 「図書館はいったい何のために、誰のためにあるのか?」・・・図書館の根源的な役割につい

て思いを馳せ、束の間ではありましたが来場者と語り合える時間は幸せなひとときでした。

 なお、上映中、旧川喜多邸別邸(旧和辻哲郎邸)では伊東雅江さんの作品展が同時開催され、

当会は見守りのお手伝いとともに、鎌倉市景観重要建築物である建物や庭園のご紹介をさせてい

ただきました。歴史と文化の香りに包まれて一日をすごし、旧鎌倉図書館もこんな風に愛され活

かされる日が一日も早く訪れるよう、願わずにはいられませんでした。

 最後になりますが、川喜多記念館のスタッフの皆さまには連日大変お世話になりました。心か

ら感謝申し上げます。親しくお話できるようになった頃に終了となりましたが、この機会に記念

館の会員になった当会メンバーもあり、今後とも末長いお付き合いをさせて頂ければと思います。

映画会来場者は合計274 名、DVD 売上は13 枚でした。